気候変動への対応について「特に意見を持っていない/気にしない」と回答した日本の若者の割合は調査した10カ国の中で断トツに高いことが、米国の化学・電気素材メーカーである3M(スリーエム。本社・米国ミネソタ州)のグローバル意識調査で分かりました。3Мの日本法人スリーエム ジャパン(本社・東京)がこのほど発表しました。日本の若い世代の気候変動に対する関心の低さが明らかになった、と同社は分析しています。
調査は、日本、米国、英国、中国、韓国、ドイツ、フランス、カナダ、メキシコ、ブラジル―の10カ国の18歳以上の男女、合わせて約1万人(各国1000人)を対象に昨年12月~今年1月に実施。発表は、気候変動に関する日本人の意識についての調査結果を、グローバルとの比較で考察しています。以下、概要です。
【気候変動対応に無関心な日本の若年層は13%、10カ国の中で唯一10%超え】
「気候変動への対応はどの程度重要ですか?」との問いに対し、「とても重要」「ある程度重要」と回答した人は合わせて87%にのぼり、グローバル平均の90%とほぼ横並びでしたが、世代別にみると「特に意見はない/気にしない」と回答した日本の若年層(18~34歳)は13%と、10カ国の中で唯一10%(グローバル平均5.1%)を超える結果となりました。また、国内の世代別でみても年長者の方が高い関心を示すなど若い世代の気候変動に対する関心の低さが明らかになりました。(グラフ)
【80%が気候変動は人類にとって最大の脅威になると認識】
「気候変動は人類にとって最大の脅威の一つである」という問いに対し、80%(グローバル平均81%)が「強く同意する」「ある程度同意する」と回答しました。本問においても、35~54歳、55歳以上に比べ18~34歳の回答者が同意する割合は低く、13%(グローバル平均6.6%)が「わからない/特に意見はない」と回答しました。
【すでに気候変動の影響を感じていると答えた割合がグローバルより高く、ブラジルと並んで調査対象10カ国中トップに】
「あなたの地域社会が気候変動の影響を受けるのはいつ頃になると思いますか?」という問いに対し、半数以上(53%)の人が「すでに影響が出ている」と回答しました。これはブラジル(53%)と並び世界で最も高い割合となっており、グローバル平均(43%)を10%も上回る結果となりました。
【「異常気象」が気候変動のもたらす影響の最大の懸念事項に。大気、水への影響を懸念する人は他国より少ない】
「気候変動がもたらす影響で懸念しているもの」の上位3つには、台風や洪水などの「異常気象(67%)」、「気温や気象パターンの長期的な変化(43%)」、「気候の変化に起因する健康問題(37%)」が挙がり、「異常気象」を挙げた人の割合はグローバル平均の52%を上回りました。
【「カーボンフットプリント」の理解度が調査対象10カ国中で突出して低い結果に】
カーボンフットプリント※1という言葉について、どの程度知っているか質問したところ、59%(グローバル平均19%)が「聞いたことがない」、33%(グローバル平均32%)が「聞いたことはあるが詳しくは知らない」と回答し、9割以上がよく理解できていないことが判明しました。グローバル平均の51%を大きく上回る結果となり、世界の認識との差が大きく開いていることが分かります。
※1 カーボンフットプリントとは、個人、組織、プロセス、製品、イベントなどが特定の境界線内から大気中に放出した温室効果ガス(GHG)の量を指します。多くの環境イニシアティブは、気候変動対策として二酸化炭素排出量を中和、除去または削減することを目指しています。
【グローバル共通で「クリーンな交通手段」が最も認知度の高い気候変動への対応策】
「気候変動に対処するための手段として知っていること」についての問いに、「とてもよく知っている」「ある程度知っている」と回答した人を合わせた割合が最も高かった項目は「クリーンな交通手段(自転車、公共交通機関、電気自動車(自動車、バス、電車を含む))」の65%で、同項目はグローバル平均でも78%と最も知られた対応策として挙げられています。国内では次いで「再生可能エネルギーと燃料(風力発電、太陽光発電、グリーン水素)(63%)」、「廃棄物の削減(再生可能な材料、プラスチック使用量の削減、堆肥化可能な材料)(54%)」となりました。また、これら3項目は「対処する手段としてより詳しく知りたいこと」の上位3つにも挙げられています。
●気候変動に関する日本の調査結果の詳細はこちら(3Mストーリー:気候変動に関する日本人の意識調査)から