ユニセフはこのほど、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」で、子どもに関連する指標の3分の2が目標年の2030年までに達成できないおそれがある-との報告書を発表しました。「達成には前例のないレベルの加速が必要で、国際社会が子どもを取り組みの中心においた場合のみ可能になる」としています。
報告書は米国で9月に行われた第78回国連総会ハイレベルウィークとSDGsサミットに先駆けて発表されたもので、190カ国以上の20年にわたるデータを分析し、各国の現状と今後7年間で目指す姿を比較。課題や進捗について明らかにしています。
この中で、国際社会では新型コロナウイルス感染症や気候変動、紛争、経済危機により、これまでの取り組みが停滞したり逆転したりしている-と指摘。特にパンデミックの影響は大きく、長年積み上げてきた子どもの予防接種の取り組みが停滞し、低・中所得国では「学習の貧困」がパンデミック前より33%増加したとの推計を明らかにしました。その上で「暴力からの保護や学び、子どもの貧困などに関する目標への進捗が最も遅れている」と訴えています。
ユニセフはこの報告を踏まえ、各国政府に対して▽保健、教育、社会的保護などの分野における社会的支出を増やし、その支出レベルを維持する▽子どもたちのための知見とエビデンスを蓄積するためのデータの収集や共有、活用を促進する関係者間の協力を促進する▽すべての子どもにとって住みやすい地球にするため、気候変動の緩和と適応の戦略を策定する-といった具体的な措置を講じ、進捗を加速させるよう求めています。