2022.01.21

県内通信制高校の生徒数 昨年度より25.5%増
本年度の学校基本調査

文部科学省と県が昨年末に発表した「2021年度学校基本調査」(全国版、長野県版)について、今回は「通信制高校」に関わる調査結果に注目しました。県内の通信制高校12校の生徒数は昨年度より25%以上も増加し、増加率は全国の都道府県でトップになっています。背景には、通信制ならではの事情も垣間見えました。

通信制の高校は公立、私立合わせて全国に260校あり、生徒数は21万8389人に上ります。昨年度に比べると学校数が3校、生徒数は5.5%(1万1441人)の増加。生徒数は3年連続で過去最高を更新しています。県内は学校数が公立2校、私立10校の計12校で、生徒数は合わせて5945人です。学校数は昨年度と同じですが、生徒数は25.5%(1207人)増と、全国の増加率からみると際立って高いのが分かります。特に、私立が4342人で昨年度比39.8%(1236人)増になっいるのが目立っています。

都道府県別に高校通信制の生徒数と対昨年増減率を、学校基本調査のデータからまとめたのが左の表です。県内の通信制高校で生徒数が急増した背景には、どのような要因があるのでしょうか。

昨春、県内の中学校を卒業して通信制高校に進学したのは647人でした。前年より100人(18.3%)増とかなりの増加ですが、仮に増えた分がすべて私立への進学者だったとしても数の上からは主な要因とは言えません。県私学振興課に聞いてみました。私立10校の中で生徒数が昨年度より増えたのは6校。このうちの1校が、昨年度の生徒数の15.2倍に激増したとのことでした。

その高校が、20年4月に開校した緑誠蘭高校(本校・木曽郡南木曽町)です。初年度の生徒数が55人だったのが本年度はの890人にまで増えています。私立の増加分の2/3以上は同校の増加分で占めた計算です。この高校は本校のほかサテライト校が塩尻市と愛知県知立市、岐阜県中津川市にあります。同校によると、「長野県内の校舎でも生徒数は増加していますが、主に増えたのは愛知の校舎で昨年より700人以上伸びています」とのことでした。

通信制高校には、入学できる地域が3都道府県以上の「広域」と、隣接する2都道府県までの「狭域」—の2種類があり、緑誠蘭高校は広域通信制になります。主として県外のサテライト校で学ぶ生徒でも本校のある都道府県の生徒数にカウントされるので、このような現象が生まれます。

県内中学から通信制高校に進学する生徒が増えているのは前述の通りですが、県内高校の全日制・定時制などから通信制に編入学する生徒の増加も見逃せません。加えて、広域通信制高校に県外生が数多く入学し、さらに生徒数を押し上げた結果が、学校基本調査の数値に表れたと言えるでしょう。

学校基本調査、前回は12月26日のニュースで「大学進学率」について全国と長野県の状況を取り上げています。次回は「小学校」を取り上げます。